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ラステット(一般名:エトポシド)

再発例に有効な経口抗ガン剤

製造・販売元
日本化学株式会社
対象患者
  • 小細胞肺ガン
  • 悪性リンパ腫
  • 子宮頸ガン
用法
カプセルを服用
有効率
25.0%(小細胞肺ガン)、5日間投与で44.3%、21日間投与で53%(悪性リンパ腫)、23.5%(子宮頸ガン)
副作用
  • 白血球減少
  • 貧血
  • 悪心
  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 倦怠感
  • 口内炎
  • ヘモグロビン減少
  • 血小板減少
  • 脱毛
  • 食欲不振 など
16,614円
テキスト
禁忌
重篤な骨髄抑制がある。ラステットに対する重篤な過敏症の既往歴がある。妊婦または妊娠している可能性がある。

ラステットの紹介

ラステットは、リンパ腫や白血病の再発例に有効な経口の抗ガン剤のひとつで使用頻度の高い経口抗ガン剤。

よいQOLをめざした外来治療で使われる

一般には高齢者で強い治療ができない方、あるいはこれまでに強い治療が行われて再発した場合の外来での治療薬として処方されることが多い薬です。

よいQOLを目標とした外来の治療でよく使われます。悪性リンパ腫、子宮ガン、肺ガンの再発例などで使われます。1週間や2週間、もしくは4週間つづけて投与することがあります。
ただし、急に白血球が減少する場合がまれにありますので、定期的に白血球減少がないかどうかを血液検査でチェックする必要があります。

1種類の薬としては、1回の投与で比較的有効性が高いことが長所です。一方で、ラステット以外の別の薬と併用すると、下痢が強く出ることがあります。ほかの薬と併用されることはあまりなく、単独で使うことが多い薬です。

ウィルス感染症にかかっていたり、ほかの抗がん剤を服用している場合にラステットを投与されますと、強い骨髄抑制が出ることがありますので、必ずほかの薬を飲んでいるかどうかを聞いてから使うことが必要です。

まれな副作用として、食欲不振と下痢が投与の最初のころにある場合があります。最近注目されている肺腺ガンの薬で、イレッサがあります。イレッサが保険で承認されたのち、そのような薬だけでは十分な治療効果が出ない場合に、ラステットなどの経口の抗ガン剤との併用が考えられています。
今後は、そのような臨床試験が行われることになると思います。

投与中の日常生活

入浴ではとくに気をつけることはありません。ラステットは副作用として口内炎がおきることがあります。口内炎がおきたときは、レモンなどビタミンCを含むものや、酸味の強いものを食べると痛くなりますので気をつけましょう。
運動ではとくに気をつけることはありませんが、まれに副作用で貧血がおきることがあります。車の運転や飲酒、喫煙ではとくに気をつけることはありません。

ペラゾリン(一般名:ソブゾキサン)

リンパ腫の経口投与の代表

ベラゾリンは、悪性リンパ腫と成人T細胞性白血病、T細胞性リンパ腫の患者さんに用いられています。

製造・販売元
全薬工業株式会社
対象患者
  • 悪性リンパ腫
  • 成人T細胞白血病
  • T細胞リンパ腫
用法
細粒を服用
有効率
28.3%(悪性リンパ腫)、43.5%(成人T細胞性白血病)
副作用
  • 食欲不振
  • 悪心・嘔吐
  • 下痢
  • 口内炎
  • 脱毛
  • 白血球減少
  • 赤血球減少
  • 血小板減少など
コスト
736円
禁忌
  • 重篤な骨髄抑制がある
  • ペラゾリンに対する重篤な過敏症がある

ペラゾリンの紹介

ベラゾリンは、悪性リンパ腫と成人T細胞性白血病、T細胞性リンパ腫の患者さんに用いられています。

減量、増量を柔軟に行える

一般には400mgの細粒からできています。400mgからはじめて、およそ1200mgまで段階をおって徐々に増量したり、逆に副作用が強い場合には減量したりといったことが自由にできるという利点のある薬です。

ただしペラゾリンだけでは約30%くらいの有効率しかありません。ペラゾリンだけでは非常に効果が弱く、治癒をめざす薬ではありません。強い治療をしたあとで再発したた患者さんや、老齢のために強い治療ができない患者さん、もしくは入院治療を希望せずに、どうしても外来で治療しなければならないという患者さんに対して、好んで使われる場合があります。

日本では一般に、ペラゾリンとラステットという薬が、そのような患者さんによく使われています。両方の薬がどちらも効かなくなるということはなく、どちらかを先に投与して、その薬が効かなくなったら別のほうを投与するというように、一般的には使用します。

別の薬との併用は副作用がおこることがある

帯状疱疹の薬で、ゾビラツクスという薬があります。その薬といっしょにペラゾリンが投与されて重篤な骨髄抑制をおこし、亡くなった患者さんがいました。そのように別の薬が入っていると重篤な副作用が出る場合がありますので、併用している薬が何かと必ず問いたうえで投与するということが必要になっています。

ほかの抗ガン剤でも同じなのですが、ペラゾリンでは実際に亡くなった例がありましたので、とくに気をつけて投与することになっています。

一般に抗ウィルス薬がいっしょに人っていると核酸の合成障害がおきて、悪心や嘔吐が強いだけでなく、下痢や口内炎、脱毛も非常に強くおき、なおかつ白血球減少が非常に長い間つづきますので、気をつけて使用することが必要です。
ほかの薬と併用することは基本的に認められていませんが、これまでにラステットやスタラシドなどといった抗がん剤と併用すると、下痢が強く出たり、消化管出血がおきたという報告がありますので注意が必要です。

投与中の日常生活

投与した最初のころに、食欲不振や悪心、嘔吐が出る場合があります。少量ではじめる場合はとくに心配することはありません。最初のころは少量かせいとらはじめるか、投与する場合に制吐剤(吐き気どめ)をいっしょに投与するように気をつけることが必要です。入浴や車の運転、飲酒、喫煙、日光などについては、とくに気をつける必要はありません。

フィルデシン(一般名:塩酸ビンデシン)

オンコビンよりも末梢神経障害が少ない

製造・販売元
塩野義製薬株式会社
対象患者
  • 急性白血病(慢性骨髄性白血病の急性転化を含む)
  • 悪性リンパ腫
  • 肺ガン
  • 食道ガン
用法
静脈内に点滴注射する。ワンショットまたはゆっくり側注。
有効率
37.8%(急性リンパ性白血病)、29.4%)慢性骨髄性白血病の急性転化)、55.6%(非ホジキンリンパ腫)、14.3%(小細胞ガン)、55.6%(ホジキンリンパ腫)、15%(扁平上皮ガン)、15.4%(肺腺ガン)、16.2%(食道ガン)など
副作用
  • 白血球減少
  • ヘモグロビン減少
  • 血小板減少
  • 脱毛など
コスト
5,974円
禁忌
フィルデシンの成分に対して重篤な過敏症の既往歴のある患者。髄腔内には投与してはならない

薬剤名の紹介

フィルデシンの対象患者は、急性白血病と悪性リンパ腫ですが、肺ガンや食道ガンにも使われています。最近では代表的な悪性リンパ腫の治療薬として、ふたたび脚光を浴びています。

オンコビンよりも有効率は若干低い

フィルデシンはオンコピンという有名な薬の誘導体で、オンコピンよりも末梢神経障害が少ないということで開発をされています。
そのため、オンコピンを投与すると末梢神経障害が強く出る人には、この薬を使うほうが良いことがあります。

ただし、オンコピンよりも有効性は若干低くなります。末梢神経障害が強く出た患者さんのみに使われたり、もしくは仕事の関係から末梢神経障害がおきると都合が悪いような患者さんに使われる場合があります。
オンコピンの末梢神経障害の弱い薬の一つとして、今後も使われていくことになるでしょう。フィルデシンは血管から漏れると静脈炎をおこしますので、できるだけワンショットで投与するか、もしくは太い血管に入っていることを確かめてから、時間をかけて投与することが一般的です。

急性白血病ではステロイドホルモンやキロサイド、メソトレキセートといへいようったほかの強力な薬と併用します。

悪性リンパ腫では、アドリアシンエンドキサンなどといっしょに使われます。肺ガンでは、プラトシンなどといっしょに使われます。

一般に食道ガンや肺ガンでは、フィルデシンを使ったあとに放射線照射を併用する場合があります。フィルデシンもオンコピンと同様、髄腔内には絶対に投与してはいけません。またくり返し投与しますと、絶対ではありませんが末梢神経障害や消化管の麻痔がおこりますので、投与の日数は守らなければなりません。

投与中の日常生活

フィルデシンでは一般に、末梢神経障害は比較的少ないのですが、それ出た場合などは一人浴時に気をつけましょう。滑りやすくなったり、転びやすくなったりするからです。運動については、末梢神経障害の予防のためにしていたうが良いのですが、細かい運動は危険ですから控えましょう。車の運転、飲酒や喫煙には、とくに気をつけることはありません。

ファルモルビシン(一般名:塩酸エビルビシン)

老人にも使用可能な協力な薬剤

製造・販売元
協和発酵工業株式会社
対象患者
  • 急性白血病
  • 悪性リンパ腫
  • 乳ガン
  • 卵巣ガン
  • 胃ガン
  • 肝ガン
  • 尿路上皮ガン
用法
静脈内にゆっくり点滴注射する。肝ガンの場合には、肝動脈内に点滴注射する。膀胱ガンの場合は膀胱腔内に注入する。
有効率
23.5%(急性白血病)、64.3%(悪性リンパ腫)、38.6%(乳ガン)、58.4%(表在性膀胱ガン)など
副作用
  • 悪心
  • 嘔吐
  • 白血球減少
  • 食欲不振
  • 脱毛
  • テキスト
  • 膀胱腔内注入では頻尿、排尿痛などの局所刺激症状

コスト
7,591円
禁忌
心機能異常またはその既往歴のある患者。ファルモルビシンに対して重篤な過敏症の既往歴のある患者。他のアントラサイクリン系薬などの心毒性を有する薬剤による治療が限界量に達している患者。

ファルモルビシンの紹介

ファルモルビシンは、アドリアシンの類似薬ということで開発されましたが、副作用のうちの心毒性が弱いということで選ばれる場合が多いようです。とくに老人例での白血病や悪性リンパ種によく使われています。

心毒性の危険が強い人に使われる

欧米、とくにヨーロッパでは乳ガンに対して、エンドキサン、アドリアシン、5-FUという薬を組み合わせた治療のほかに、心臓に毒性が少ないという理由から、むしろエンドキサン、ファルモルビシン、5-FUといった薬を使う「CEF療法」がよく行われています。

日本では残念ながら、投与量の一部までしか保険が適用されないために、まだ、普及が十分ではありません。血液系の腫瘍では、心毒性の危険がある人に、ファルモルビシンが使われています。アドリアシンと同じように、点滴のときに血管から漏れますと、強い静脈炎をおこしますので投与中に注意が必要です。

肝臓ガン、膀胱ガンなどで、肝動脈内や膀胱腔内に注入する場合には、時間をかけて行います。30分から60分程度時間をかけます。

静脈内に点滴注射をする場合には、ゆっくり時間をかけながらワンショットで投与をするか、もしくは30分程度時間をかけて点滴をする場合が多いです。最近、24時間かけてゆっくり投与するというような方法も考えられましたが、まだ一般的ではありません。長くかけたほうが副作用が少なく、吐き気が少ないという特徴があります。

与中の日常生活

白血球減少がある場合には入浴をひかえ、シャワーだけにしましょう。食事は、生野菜などの細菌がついている可能性があるものや、納豆、ヨーグルトといった菌が含まれているものは避け、加熱したものを食べましょう。

膀胱内にファルモルビシンを投与したときには、膀胱刺激があるので、人浴や運転、運動などをひかえましょう。。喫煙・飲酒に関する制限はありません。ただし、食欲不振が強い場合には飲酒をひかえましょう。

カンプト・トポテシン(一般名:塩酸イリノテカン)

日本発信の薬剤

製造・販売元
株式会社ヤクルト本社/第一製薬株式会社
対象患者
  • 小細胞ガン
  • 非小細胞ガン
  • 子宮頸ガン
  • 卵巣ガン
  • 胃ガン
  • 結腸・直腸ガン
  • 乳ガン
  • 悪性リンパ腫
用法
静脈内に点滴注射する。1回の点滴に要する時間は90分以上または60分以上
有効率
34.3%(非小細胞ガン)23.6%(子宮頸ガン)23.1%(卵巣ガン)など
副作用
  • 白血球減少
  • ヘモグロビン減少
  • 血小板減少
  • 下痢
  • 嘔吐
  • 食欲不振
  • 腹痛
  • 脱毛
コスト
43,234円
禁忌
  • 骨髄機能抑制のある患者
  • 感染症を合併している患者
  • 下痢のある患者
  • 腸管麻痺、腸閉塞のある患者
  • 間質性肺炎または、肺線維症の患者
  • 多量の腹水、胸水のある患者
  • 黄疸がある患者
  • この薬に対して過敏症のある患者

カンプト/トポテシンの紹介

この薬は日本で開発された薬ですが、現在では日本よりもアメリカでたくさん使われています。肺ガンや胃ガン、大腸ガン、乳ガン、リンパ腫などに使われています。現在最も使われているガンとしては、肺ガンと大腸ガンが知られています。そのほかに、乳ガンや悪性リンパ腫が再発した例で、この薬を少量使うと効果があるということが分かってきました。

問題になる副作用は下痢と吐き気

現在、日本では150mg/m2という量で、保険が承認されていますが、そちよりも少ない量で治療されている場合もあります。この薬の臨床試験は、はじめて治療する例に使用されたのではなく、1回目の治療が効かなかった例に対して行われました。

そのため、はじめからこの薬を使うということは非常に少ないようです。この薬の有効率は、最も有効な例で30%前後です。いちばん問題になる副作用は、下痢、吐き気です。そのほかに、くり返し投与すると骨髄抑制がおきて白血球減少や貧血、血小板減少がみられます。

下痢、悪心、嘔吐は非常に強い例がまれにあります。標準治療をくり返し行うと、そういうものが多くなってくることがあります。下痢や悪心、嘔吐が出る患者さん、また腸管に麻痺がある患者さんの場合には、この薬を使用することはできません。この薬が腸に出て、その後肝臓に戻りますが、腸管麻痺があるとそれができないため、薬がいつまでも効いてしまうからです。

少量なら長期間投与可能

この薬は比較的短時間で点滴をして注射が行えること、また量が少ない場合には長い間投与することができるという長所があります。併用する薬の代表例としては、アメリカでは大腸がんの場合には5-FU 、ロイコオリンなどといっしょに使うことが標準療法になっています。乳がんでは単剤、亜心性リンパ腫でもおおよそ単剤で使われることが多いです。
将来の見通しですが、この薬は、この1剤では30%程度しか有効率がありません。しかし、長く使用できるということ、また少量ならば副作用が少ないということから、少量での治療や、5-FU、ロイコポリンとの併用について、今後試験が行われていくことになると思います。

投与中の日常生活

日常生活の注意点として、白血球減少がきた場合や、下痢、悪心が強い場合には、入浴はあまり勧められません。食事に関しても、下痢、悪心、嘔吐が強い場合には、制限をする場合があります。運動は貧血がなければとくに問題ありません。
この薬は心臓や肺に負担がかかる薬ではないからです。車の運転や喫煙は問題ありませんが、飲酒をすると下痢、悪心、嘔吐が強くなる場合があります。

オンコビン(一般名:硫酸ビンクリスチン)

現在も有効なリンパ系腫瘍の薬剤

製造・販売元
塩野義製薬株式会社
対象患者
  • 白血病(慢性白血病、慢性白血病の急性転化時を含む)
  • 悪性リンパ腫
  • 小児腫瘍(神経芽腫、ウィルス腫瘍、横紋金肉腫、睾丸胎児性ガン、血管肉腫など)
用法
静脈内にゆっくり点滴注射する
有効率
36.2%(成人の急性白血病)、61.9%(小児の急性白血病)、73.2%(悪性リンパ腫)60.9%(小児腫瘍)
副作用
  • しびれ感
  • 脱毛
  • 下肢深部反射減弱
  • 消失
  • 倦怠感
  • 四肢疼痛
  • 筋萎縮
  • めまい
  • 排尿困難
コスト
7824円
禁忌
オンコビンの成分に対して重篤な過敏性の既往歴がある患者。脱随性シャルコー・マリー・トゥースの患者。髄腔内には投与してはいけない

オンコビンの紹介

オンコピンは、リンパ腫や急性リンパ性白血病、慢性白血病などに使われる最も古い治療薬で、小児腫瘍にも使われています。

オンコピンは、非常に有効性が高いというのが利点です。一方で、しびれ感や末梢神経障害、四肢の疼痛や筋の萎縮などが必ずおきます。これらは軽度であろうが、ほとんどの方に必ず出る症状です。

投与する頻度に注意する

オンコピンは、1週間に1回というのが、最も多く用いられる場合の頻度です。一般には、毎日投与することは絶対にあってはいけない薬です。

オンコピンは神経障害をおこす薬ですので、毎日投与すると末梢神経障害が強く出るだけではなく、消化管の麻痔をおこしたりします。使用頻度には、必ず気をつけなければなりません。とくに老人や非常に若い方では、効果はあるのですが障害が強く出ることがあります。症状をみながら使っていくことになります。

きわめて安全に使われる

オンコピンはこの薬だけでも有効ですが、機序のちがう薬をできるだけいっしょに使ったほうが、有効性が高くなります。悪性リンパ腫では「CHOP療法」で、世界的に最も有名な薬の組み合わせの1つとして使われています。

オンコピンの有効性が最も出る方法の1つです。小児腫瘍では、そのほかにラステットやプラトシンなどといっしょに使われることが多いです。肉腫や神経芽細胞腫、骨肉腫といったまれな疾患でも使われますし、白血病やリンパ腫にも使われています。

白血球減少もほとんどみられませんので、きわめて安全に使われる薬です。ただし点滴中に血管から漏れると、血管の壊死や静脈炎をおこしますので注意が必要です。

また、髄腔内に投与すると非常に強い脊髄麻痺がおきますので、絶対に投与してはいけません。もちろんこれは薬の副作用もしくは禁忌項目に書いてあります。

しかし何年かに一度、このような事故がおきますので、気をつけなければなりません。オンコピンには、経口薬を開発していこうという動きがあります。また白血球球減少が比較的少なく、外来でも治療しやすいことから、がんの種類を広げて開発を進める動きもあります。
投与中の日常生活
神経障害が強いので、足の裏や手先のしびれ、筋力の低下などがみられます。滑ったり転んだりしやすくなりますから、入浴するとき、床がぬれているような場合に気をつける必要があります。食事については、全く気をつけることはありません。
車の運転や運動については、とくに気をつけることはありませんが、しびれが最も強い薬なので、細かい作業には向いていません。飲酒や喫煙については、気をつけることはありません。

エンドキサン(一般名:シクロホスファミド)

リンパ腫、乳ガン、婦人科ガンの中心的薬剤

製造・販売元
塩野義製薬
対象患者
  • 多発性骨髄腫
  • 悪性リンパ腫
  • 肺ガン
  • 乳ガン
  • 急性白血病
  • 真性多血症
  • 子宮頸ガン
  • 子宮体ガン
  • 卵巣ガン
  • 神経腫瘍(神経芽腫、網膜芽腫)
  • 用法
    静脈内に注射する。または錠剤の服用。
    有効率
    43.9%(多発性骨髄種)、58.1%(悪性リンパ腫)36.2%(乳ガン)、46.4%(卵巣ガン)
    副作用
    • 白血球減少
    • 悪心
    • 嘔吐
    • 脱毛など
    コスト
    1060円または1351円(注射薬)45.5~91円(経口薬)
    禁忌
    • ペンとスタンチンを投与中の患者
    • エンドキサンの成分に対し、重篤な過敏症の既往歴がある患者。

    エンドキサンの紹介

    エンドキサンは比較的古くから、多発性骨髄腫や悪性リンパ腫、肺ガン、乳ガンなどに対して、錠剤として経口投与を長くつづける薬の1つとして用いられてきました。また、おだやか免疫抑制剤の1つとしても、古くから用いられています。

    移植手術のあとや、膠原病、アレルギー疾患に対しても用いられてきましたが、現在ではたくさんの量を静脈内に点滴注射して、抗ガン剤として使うことも多くなっています。とくに悪性リンパ腫の「CHOP療法」、乳ガン「CAF療法」もしくは「CEF療法」の中心薬として用いられています。

    安全かつ効果が最も期待される薬の1つ

    エンドキサンは安全でかつ効果が最も期待される薬の1つです。

    また最近では、骨髄移植をする場合に大量に投与すると非常に顕著な効果を示し、また2週間後に白血球数が確実に回復してくるということが分かっています。

    多発性骨髄腫の治療では、最近は、アルケランにかわられつつあります。しかし今でもまだ中心的な薬の1つとして用いられています。子宮頚ガンや子宮体ガン、卵巣ガンに対しては、白金製剤にくらべると使用することが少し減ってきました。

    主な副作用としては、白血球減少、悪心、嘔吐、脱毛があります。また、注射で大量に投与する場合に、副作用として出血性膀胱炎が出ることがあります。錠剤を経口投与する場合には、この副作用が出ることはありません。

    投与中は水分をたくさんとることが必要

    注射で大量に投与する場合には、尿量がきちんと出るように点滴を多くする必要があります。そうしないと、尿中での薬の濃度が高くなることがあります。濃度が高いと膀胱の刺激症状が強くなり、出血性膀胱炎をおこすことが分かっています。
    そのため、エンドキサンの投与中は、水分をできるだけたくさんとることを心がけることが、投与中の日常生活で必要になります。ベントスタチンなど、作用機序が似ているほかの抗ガン剤をいっしょに使うと、副作用が非常に強く出ることが知られています。そのため、ほかに何の薬を投与されているかということは必ずチェックしなければいけないことになっています。

    投与中の日常生活

    入院治療の場合や、外来でも大量の投与を受けている場合には次のようなことに気をつけましょう。入浴は比較的軽めにしましょう。

    白血球減少がおきている場合、食事では生ものや火が通っていないものには気をつける必要があります。納豆やヨーグルトなどは避けましょう。運転はとくに気をつける必要はありません。飲酒はあまり飲みすぎないようにしたほうが良いと思います。

    非常にまれに肺の障害がおききることがありますので、喫煙量は減らしたほうが良いと思います。また投与中に日光の過敏症がおきることがありますので気をつけましょう。

    イホマイド(一般名:イホスファミド)

    肺ガン、移植などに広く使われている薬

    製造・販売元
    塩野義製薬株式会社
    対象患者
    • 小細胞肺ガン
    • 前立腺ガン
    • 子宮頸ガン
    • 骨肉腫
    • 悪性リンパ腫
    用法
    静脈内に点滴注射する。24時間点滴を持続して行う。
    有効率
    42.4%(小細胞ガン)、24.1%(前立腺ガン)、22.2%(子宮頸ガン)、9.5%(骨肉腫)
    副作用
    • 食欲不振
    • 悪心
    • 白血球減少
    • 出血性膀胱炎
    • 排尿障害など
    コスト
    4499円
    禁忌
    ペストスタンチン投与中の患者。イホマイドの成分に対し、重篤な過敏症の既往歴がある患者。腎臓または膀胱に重篤な障害がある患者

    イホマイドの紹介

    イホマイドは、保険が適応されている小細胞ガンや前立腺ガンなどの疾患以外に、骨髄移植にも用いられることがあります。

    エンドキサンと構造が似ている

    イホマイドはアルキル化剤として多くのガンに有効です。一方で、量が多く必要で、また多く投与すると出血性膀胱炎をきたしやすいという欠点があります。

    イホマイドは、エンドキサンという薬と構造が非常に似ています。そのためエンドキサンと同じように、出血性膀胱炎がおきやすくなります。ただし最近では、イホマイドもしくはエンドキサンの投与中に出血性膀胱炎を防ぐメスナという薬も出てきていますので、それほど心配せずに使っても良いと思います。

    2~3剤の薬の併用療法が一般的

    イホマイドが単剤で用いられることは少なく、一般にはラステットやメソトレキセート、アルケランなど、ほかの強力な薬といっしょに用います。

    イホマイドを併用療法として使う治療の中で、「ICE療法」という治療があります。イホマイドとカルボプラチン、ラステットという3つの薬を使うために、頭文字をとって「ICE療法」と略してよんでいます。

    このように3つくらいの薬の併用療法というのが一般的です。骨髄移植の場合にも、一般にはイホマイドとラステットを使うというふうに、2剤もしくは3剤をいっしょに使うことが多いです。最近は末梢血幹細胞移植などの移植が増加していますので、イホマイドはエンドキサンと並んで、今後さらに使用が増加すると考えられます。

    投与中の日常生活

    入浴については、とくに気をつけることはありません。食事や運動についても、とくに気をつけることはありまきつえんせん。車の運転、飲酒、喫煙についても同様です。

    むしろ投与中は、尿の色に気をつけましょう。出血性膀胱炎がひどくおきることがありますので、血尿が出た場合にはただちに投与を控えるか、投与されておきた場合には、緊急に医師に知らせる必要があります。

    アルケラン(一般名:メルファラン)

    造血幹細胞移植等の前処置薬として活躍

    製造・販売元
    グラクソ・スミスクライン株式会社
    対象患者
    • 白血病
    • 悪性リンパ腫
    • 多発性骨髄種
    • 小児固形腫瘍における造血幹細胞移植等の前処置
    用法
    静脈内にゆっくり時間をかけて点滴注射する。経口薬もあり
    有効率
    成人(46.2%)、小児(60%)
    副作用
    • 下痢
    • 口内炎
    • 粘膜炎
    • 悪心
    • 嘔吐
    • AST(GOT)、ALT(GPT)上昇
    • 肝機能障害
    コスト
    10487円
    禁忌
    • 重症感染症を合併している患者
    • アルケランの成分に対して過敏症の既往歴のある患者

    アルケランの紹介

    アルケランは白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの病気、あるいは小児の固形腫瘍で移植の前に前処置として用いられます。

    小児の細胞移植の成績がよくなった

    経口薬では5日間しか投与しません。静脈内に点滴で投与する場合には、移植の前にしか用いないことが多いです。経口薬は以前から存在していましたが、静脈注射の薬は2001年に認められました。

    副作用は、大量に投与されたときの下痢や口内炎、消化器症状が主で、吐き気や嘔吐が出ることがあります。まれに肝障害がおきることがあります。

    重症の感染症を合併していたり、アルケランに対して過敏症がある場合には投与することができません。この薬が利用されるようになって、小児の細胞移植の成績がきわめて良くなりました。最近では、アルケランがないと小児の細胞移植ができないほど有名な薬になりました。

    投与中の日常生活

    アルケランが造血幹細胞移植のときの前処置として使われる場合には、アルケランを使う前に消毒薬を入れて入浴し、無菌室に入ります。無菌室に入ったあとは、シャワーだけになります。

    食事も無菌食、もしくはそれに準じた食事になります。アルケランと日光との関係についてのデータはありません。しかし、ほかの薬を併用していることが多く、併用ししている薬によっては紫外線による皮膚障害が出ることがあるので、その場合は日光にあたることはできません。
    無菌室に入ることが多いので、車の運転、飲酒や喫煙はできなくなります。

    アドリアシン(一般名:塩酸ドキソルビシン)

    最もよく使われる抗ガン剤の1つ

    製造・販売元
    協和発酵株式会社
    対象患者
    • 悪性リンパ腫(細網肉腫、リンパ肉腫、ホジキンリンパ種)
    • 肺ガン
    • 消化器ガン(胃ガン、胆嚢・胆管ガン、すい臓ガン、肝ガン、結腸ガン、直腸ガン)
    • 乳ガン
    • 膀胱腫瘍
    • 骨肉腫
    用法
  • 静脈内にワンショット投与する。
  • 膀胱腫瘍では膀胱内に注入する。
  • 有効率
    46.7%(リンパ肉腫)50.0%(乳ガン)、59.3%(膀胱腫瘍など)
    副作用
    • 脱毛
    • 白血球減少
    • 悪心
    • 嘔吐
    • 食欲不振
    • 口内炎
    • 血小板減少
    • 貧血
    • 赤血球減少
    • 心電図異常
    • 心筋障害(心不全)
    • 貧血
    • 出血

    • ショックなど
    コスト
    5630円
    禁忌
    • 心機能異常またはその既往歴のある患者
    • アドリアシンの成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者

    アドリアシンの紹介

    アドリアシンは抗ガン剤の中でも、最も広く使われているものの1つです。悪性リンパ腫や肺ガン、消化器ガン、肝臓ガン、膀胱腫瘍、骨肉腫、乳ガンなど、たくさんの病気に保険の適用が認められています。アドリアシンは、単剤でも最も有効率の高いものの1つですが、単剤で投与することは少なくなっています。

    他の薬との併用が多い

    乳ガンでは、エンドキサン、5-FUとの3剤併用、悪性リンパ腫では、CHOP療法が標準治療になっています。CHOP療法は、アドリアシンのほかに、オンコピンやエンドキサンやプレドニンといった、4つの薬を併用する治療法です。

    現在では多くの薬剤が、アドリアシンを使った場合をコントロール群と比較試験に用いるくらい有名な薬です。抗ガン剤を開発するときに、アドリアシン単剤とくらべて現在開発中の薬がさらによく効くかどうかということを検討する基準になるというくらい有名な薬剤です。

    投与前に心機能検査が必要

    静脈内に注射で投与することが多いのですが、ゆっくり投与しないとアメリカ人や肥満の方では心筋梗塞をおこした例が報告されています。また心毒性がありますので、投与する前に必ず心機能に異常がないかどうか検査しなければいけません。

    たとえば、心臓の超音波検査や心筋シンチグラフなどの心臓機能検査を受けてから、アドリアシンを投与できるかどうかを決定することが多いようです。膀胱内への注入では、膀胱ガンの部分にこの薬を投与しますと、腫瘍が、壊死をおこします。そのために、膀胱の刺激症状をおこしたり、残尿感などの副作用がおこります。アドリアシンの副作用には、非常に強い脱毛と吐き気があるので、必ず投せ与前には制吐剤(吐き気止め)を投与します。

    投与中の日常生活

    アドリアシンは、脱毛や白血球減少、悪心、嘔吐といった副作用が非常に強いので、入浴はひかえめにしましょう。食事では、粘膜を刺激するような辛いものや塩分の多いもの、熱いものはとらないほうが良いでしょう。

    アドリアシンを投与中は、悪心や嘔吐が強くでるので、飲酒もさけたほうが良いでしょう。アドリアシンを投与中に日光に当たると、脱毛につづく皮膚の障害が強くでることがあるので、日光にも当たらないほうが良いでしょう。

    さらに、心機能異常がでるので、投与中は強い運動をしないほうが無難です。歩くときもゆっくり歩くように心がけましょう。車の運転にはとくに差し支えありません。