月別アーカイブ: 2017年11月

リュープリン(一般名:酢酸リュープリン)

ノルバデックスと併用するLH-RH拮抗薬

製造・販売元
武田薬品工業
対象患者
  • 子宮内膜症
  • 子宮筋腫
  • 閉経前乳ガン
  • 中枢性思春期早発症
  • 前立腺ガン
用法
皮下注射
有効率
77.8%(子宮内膜症)、83.5%(子宮筋腫)、37.0%(閉経前乳ガン)、90.2%(中枢性思春期早発症)、53.9%(前立腺ガン)
副作用
  • 間質性肺炎
  • アナフィラキー様症状
  • うつ症状
  • 尿路閉塞など
56,785円
テキスト
禁忌
リュープリンの成分または、合成LH-RH、LH-RH誘導体に対して過敏症の既往歴がある。妊婦または妊娠の可能性がある。診断のつかない異常性器出血。

リュープリンの紹介

リュープリンは、閉経前乳ガンと前立腺ガンの治療に主に使われています。「LH-RH」というホルモン括抗薬の1つです。28日から30日に1回、腹部のへそから2cmくらいはなれたところに、左右両側に1回ずつ、交互に皮下注射して投与します。通常は3.75ミリグラム注射をします。

他の薬と併用されることが多い

リュープリンは「LH-RH 」というホルモンを止めるため、まれにうつ状態になったり、女性では生理が止まったり、男性では男性らしさが少なくなっていくという副作用があります。若い方では、乳ガンの患者さんに単独、もしくはノルバデックスというホルモン剤と併用してさらにホルモン療法として強く行う場合に用いられます。
前立腺ガンでは、ホンバンという薬を使います。
リュープリンはこの薬だけでは非常に副作用が少ない薬のひとつですので、ほかの薬と一緒に使われます。

子宮内膜症にも使われる

ガンではありませんが、女性で生理のときに腹痛がおきる子宮内膜症という疾患があります。そのときにも、子宮内膜の増殖を止められたり、生理のときの出血や腹痛が軽減できたりすることから、リュープリンが使われることがあります。

白血病やリンパ腫、小児の悪性腫瘍などで抗がん剤を投与しているときに血小板減少があると、若い女性で生理がある場合、出血が止まらない危険があります。そのようなときに、リュープリンを使って生理を止めることがあります。

移植のあとや、強力な抗ガン剤の使用中にリュープリンを使っている人のほうが、抗ガン剤の治療が終わったあとで卵巣機能の回復が早いということが、外国で証明されて報告されました。

抗ガン剤の使用中に月1回皮下注射すると、女性の場合卵巣機能が非常に早く元に戻って不妊症が少ないということから、不妊症を予防するという意味で使うケースが最近では多くなってきました。また最近では、エイズであらわれるにくしゆカポジ肉腫に対してリュープリンを投与すると、カポジ肉腫が小さくなることが分かりました。
抗腫瘍効果が新しく注目されて使われるようになってきています。
投与中の日常生活
入浴や食事、運動、車の運転、飲酒、きつえん喫煙などには、とくに気をつけることはありません。ただし女性では無月経、男性ではインポテンツなどがおきることがありますので、そのことを十分に理解しましょう。

フェアストン(一般名:クエン酸トレミフェン)

閉経後の乳ガンのホルモン剤

製造・販売元
日本化薬株式会社
対象患者
  • 閉経後乳ガン
  • 錠剤を服用
用法
テキスト
有効率
28.6%(40mg)、12.3%(120mg)
副作用
    • ALT(GPT)上昇
    • テキスト
    • AST(GOT)上昇
    • トリグリセライド上昇
    • LDH上昇
    • コレステロール上昇
    • γ-GTP上昇
    • 白血球減少

など

コスト
573,7円
禁忌
妊婦または妊娠している可能性がある

フェアストンの紹介

フェアストンは、閉経後の乳ガンのに対して用いられるホルモン療法のひとつ。

再発予防のために長期間服用する

フェアストンだけで抗ガン作用があるわけではなく、閉経後乳ガンの患者さんが、手術のあとで再発を予防するために長い問服用する薬です。ほかの抗ガン剤をいっしょに服用する場合もあります。

フェアストンは非常に弱い薬ですので、とくに副作用がないことがフェアストンの長所です。一方で、そのような弱い薬ですので、2年から5年といった長期問にわたって服用しなければ、服用しない方に対して有意差が出ることはありません。
これはノルバデックスなど、ほかのホルモン剤と同様です。フェアストンのような薬は、ホルモン療法剤としていくつか必要ですので、この薬は今後も使われていくことになると思います。

投与中の日常生活

入浴についてはとくに気をつけることはありません。フェアストンを投与されていますと、食欲が出たり、食べ物の吸収が良くなったりします。そのため中性脂肪やコレステロールが上昇することがあります。また同じことが原因で、γ-GTPが上昇して脂肪肝になったり、AST(GOT) やALT(GPT)が上昇することもありますので食事摂取量に注意しましょう。
運動はむしろしてもらったほうが、脂肪肝を防ぐために予防的な意味があります。
車の運転は問題ありません。飲酒については少しひかえないと、脂肪肝が強く出ることがあります。