月別アーカイブ: 2017年7月

エンドキサン(一般名:シクロホスファミド)

リンパ腫、乳ガン、婦人科ガンの中心的薬剤

製造・販売元
塩野義製薬
対象患者
  • 多発性骨髄腫
  • 悪性リンパ腫
  • 肺ガン
  • 乳ガン
  • 急性白血病
  • 真性多血症
  • 子宮頸ガン
  • 子宮体ガン
  • 卵巣ガン
  • 神経腫瘍(神経芽腫、網膜芽腫)
  • 用法
    静脈内に注射する。または錠剤の服用。
    有効率
    43.9%(多発性骨髄種)、58.1%(悪性リンパ腫)36.2%(乳ガン)、46.4%(卵巣ガン)
    副作用
    • 白血球減少
    • 悪心
    • 嘔吐
    • 脱毛など
    コスト
    1060円または1351円(注射薬)45.5~91円(経口薬)
    禁忌
    • ペンとスタンチンを投与中の患者
    • エンドキサンの成分に対し、重篤な過敏症の既往歴がある患者。

    エンドキサンの紹介

    エンドキサンは比較的古くから、多発性骨髄腫や悪性リンパ腫、肺ガン、乳ガンなどに対して、錠剤として経口投与を長くつづける薬の1つとして用いられてきました。また、おだやか免疫抑制剤の1つとしても、古くから用いられています。

    移植手術のあとや、膠原病、アレルギー疾患に対しても用いられてきましたが、現在ではたくさんの量を静脈内に点滴注射して、抗ガン剤として使うことも多くなっています。とくに悪性リンパ腫の「CHOP療法」、乳ガン「CAF療法」もしくは「CEF療法」の中心薬として用いられています。

    安全かつ効果が最も期待される薬の1つ

    エンドキサンは安全でかつ効果が最も期待される薬の1つです。

    また最近では、骨髄移植をする場合に大量に投与すると非常に顕著な効果を示し、また2週間後に白血球数が確実に回復してくるということが分かっています。

    多発性骨髄腫の治療では、最近は、アルケランにかわられつつあります。しかし今でもまだ中心的な薬の1つとして用いられています。子宮頚ガンや子宮体ガン、卵巣ガンに対しては、白金製剤にくらべると使用することが少し減ってきました。

    主な副作用としては、白血球減少、悪心、嘔吐、脱毛があります。また、注射で大量に投与する場合に、副作用として出血性膀胱炎が出ることがあります。錠剤を経口投与する場合には、この副作用が出ることはありません。

    投与中は水分をたくさんとることが必要

    注射で大量に投与する場合には、尿量がきちんと出るように点滴を多くする必要があります。そうしないと、尿中での薬の濃度が高くなることがあります。濃度が高いと膀胱の刺激症状が強くなり、出血性膀胱炎をおこすことが分かっています。
    そのため、エンドキサンの投与中は、水分をできるだけたくさんとることを心がけることが、投与中の日常生活で必要になります。ベントスタチンなど、作用機序が似ているほかの抗ガン剤をいっしょに使うと、副作用が非常に強く出ることが知られています。そのため、ほかに何の薬を投与されているかということは必ずチェックしなければいけないことになっています。

    投与中の日常生活

    入院治療の場合や、外来でも大量の投与を受けている場合には次のようなことに気をつけましょう。入浴は比較的軽めにしましょう。

    白血球減少がおきている場合、食事では生ものや火が通っていないものには気をつける必要があります。納豆やヨーグルトなどは避けましょう。運転はとくに気をつける必要はありません。飲酒はあまり飲みすぎないようにしたほうが良いと思います。

    非常にまれに肺の障害がおききることがありますので、喫煙量は減らしたほうが良いと思います。また投与中に日光の過敏症がおきることがありますので気をつけましょう。

    イホマイド(一般名:イホスファミド)

    肺ガン、移植などに広く使われている薬

    製造・販売元
    塩野義製薬株式会社
    対象患者
    • 小細胞肺ガン
    • 前立腺ガン
    • 子宮頸ガン
    • 骨肉腫
    • 悪性リンパ腫
    用法
    静脈内に点滴注射する。24時間点滴を持続して行う。
    有効率
    42.4%(小細胞ガン)、24.1%(前立腺ガン)、22.2%(子宮頸ガン)、9.5%(骨肉腫)
    副作用
    • 食欲不振
    • 悪心
    • 白血球減少
    • 出血性膀胱炎
    • 排尿障害など
    コスト
    4499円
    禁忌
    ペストスタンチン投与中の患者。イホマイドの成分に対し、重篤な過敏症の既往歴がある患者。腎臓または膀胱に重篤な障害がある患者

    イホマイドの紹介

    イホマイドは、保険が適応されている小細胞ガンや前立腺ガンなどの疾患以外に、骨髄移植にも用いられることがあります。

    エンドキサンと構造が似ている

    イホマイドはアルキル化剤として多くのガンに有効です。一方で、量が多く必要で、また多く投与すると出血性膀胱炎をきたしやすいという欠点があります。

    イホマイドは、エンドキサンという薬と構造が非常に似ています。そのためエンドキサンと同じように、出血性膀胱炎がおきやすくなります。ただし最近では、イホマイドもしくはエンドキサンの投与中に出血性膀胱炎を防ぐメスナという薬も出てきていますので、それほど心配せずに使っても良いと思います。

    2~3剤の薬の併用療法が一般的

    イホマイドが単剤で用いられることは少なく、一般にはラステットやメソトレキセート、アルケランなど、ほかの強力な薬といっしょに用います。

    イホマイドを併用療法として使う治療の中で、「ICE療法」という治療があります。イホマイドとカルボプラチン、ラステットという3つの薬を使うために、頭文字をとって「ICE療法」と略してよんでいます。

    このように3つくらいの薬の併用療法というのが一般的です。骨髄移植の場合にも、一般にはイホマイドとラステットを使うというふうに、2剤もしくは3剤をいっしょに使うことが多いです。最近は末梢血幹細胞移植などの移植が増加していますので、イホマイドはエンドキサンと並んで、今後さらに使用が増加すると考えられます。

    投与中の日常生活

    入浴については、とくに気をつけることはありません。食事や運動についても、とくに気をつけることはありまきつえんせん。車の運転、飲酒、喫煙についても同様です。

    むしろ投与中は、尿の色に気をつけましょう。出血性膀胱炎がひどくおきることがありますので、血尿が出た場合にはただちに投与を控えるか、投与されておきた場合には、緊急に医師に知らせる必要があります。

    アルケラン(一般名:メルファラン)

    造血幹細胞移植等の前処置薬として活躍

    製造・販売元
    グラクソ・スミスクライン株式会社
    対象患者
    • 白血病
    • 悪性リンパ腫
    • 多発性骨髄種
    • 小児固形腫瘍における造血幹細胞移植等の前処置
    用法
    静脈内にゆっくり時間をかけて点滴注射する。経口薬もあり
    有効率
    成人(46.2%)、小児(60%)
    副作用
    • 下痢
    • 口内炎
    • 粘膜炎
    • 悪心
    • 嘔吐
    • AST(GOT)、ALT(GPT)上昇
    • 肝機能障害
    コスト
    10487円
    禁忌
    • 重症感染症を合併している患者
    • アルケランの成分に対して過敏症の既往歴のある患者

    アルケランの紹介

    アルケランは白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの病気、あるいは小児の固形腫瘍で移植の前に前処置として用いられます。

    小児の細胞移植の成績がよくなった

    経口薬では5日間しか投与しません。静脈内に点滴で投与する場合には、移植の前にしか用いないことが多いです。経口薬は以前から存在していましたが、静脈注射の薬は2001年に認められました。

    副作用は、大量に投与されたときの下痢や口内炎、消化器症状が主で、吐き気や嘔吐が出ることがあります。まれに肝障害がおきることがあります。

    重症の感染症を合併していたり、アルケランに対して過敏症がある場合には投与することができません。この薬が利用されるようになって、小児の細胞移植の成績がきわめて良くなりました。最近では、アルケランがないと小児の細胞移植ができないほど有名な薬になりました。

    投与中の日常生活

    アルケランが造血幹細胞移植のときの前処置として使われる場合には、アルケランを使う前に消毒薬を入れて入浴し、無菌室に入ります。無菌室に入ったあとは、シャワーだけになります。

    食事も無菌食、もしくはそれに準じた食事になります。アルケランと日光との関係についてのデータはありません。しかし、ほかの薬を併用していることが多く、併用ししている薬によっては紫外線による皮膚障害が出ることがあるので、その場合は日光にあたることはできません。
    無菌室に入ることが多いので、車の運転、飲酒や喫煙はできなくなります。

    アドリアシン(一般名:塩酸ドキソルビシン)

    最もよく使われる抗ガン剤の1つ

    製造・販売元
    協和発酵株式会社
    対象患者
    • 悪性リンパ腫(細網肉腫、リンパ肉腫、ホジキンリンパ種)
    • 肺ガン
    • 消化器ガン(胃ガン、胆嚢・胆管ガン、すい臓ガン、肝ガン、結腸ガン、直腸ガン)
    • 乳ガン
    • 膀胱腫瘍
    • 骨肉腫
    用法
  • 静脈内にワンショット投与する。
  • 膀胱腫瘍では膀胱内に注入する。
  • 有効率
    46.7%(リンパ肉腫)50.0%(乳ガン)、59.3%(膀胱腫瘍など)
    副作用
    • 脱毛
    • 白血球減少
    • 悪心
    • 嘔吐
    • 食欲不振
    • 口内炎
    • 血小板減少
    • 貧血
    • 赤血球減少
    • 心電図異常
    • 心筋障害(心不全)
    • 貧血
    • 出血

    • ショックなど
    コスト
    5630円
    禁忌
    • 心機能異常またはその既往歴のある患者
    • アドリアシンの成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者

    アドリアシンの紹介

    アドリアシンは抗ガン剤の中でも、最も広く使われているものの1つです。悪性リンパ腫や肺ガン、消化器ガン、肝臓ガン、膀胱腫瘍、骨肉腫、乳ガンなど、たくさんの病気に保険の適用が認められています。アドリアシンは、単剤でも最も有効率の高いものの1つですが、単剤で投与することは少なくなっています。

    他の薬との併用が多い

    乳ガンでは、エンドキサン、5-FUとの3剤併用、悪性リンパ腫では、CHOP療法が標準治療になっています。CHOP療法は、アドリアシンのほかに、オンコピンやエンドキサンやプレドニンといった、4つの薬を併用する治療法です。

    現在では多くの薬剤が、アドリアシンを使った場合をコントロール群と比較試験に用いるくらい有名な薬です。抗ガン剤を開発するときに、アドリアシン単剤とくらべて現在開発中の薬がさらによく効くかどうかということを検討する基準になるというくらい有名な薬剤です。

    投与前に心機能検査が必要

    静脈内に注射で投与することが多いのですが、ゆっくり投与しないとアメリカ人や肥満の方では心筋梗塞をおこした例が報告されています。また心毒性がありますので、投与する前に必ず心機能に異常がないかどうか検査しなければいけません。

    たとえば、心臓の超音波検査や心筋シンチグラフなどの心臓機能検査を受けてから、アドリアシンを投与できるかどうかを決定することが多いようです。膀胱内への注入では、膀胱ガンの部分にこの薬を投与しますと、腫瘍が、壊死をおこします。そのために、膀胱の刺激症状をおこしたり、残尿感などの副作用がおこります。アドリアシンの副作用には、非常に強い脱毛と吐き気があるので、必ず投せ与前には制吐剤(吐き気止め)を投与します。

    投与中の日常生活

    アドリアシンは、脱毛や白血球減少、悪心、嘔吐といった副作用が非常に強いので、入浴はひかえめにしましょう。食事では、粘膜を刺激するような辛いものや塩分の多いもの、熱いものはとらないほうが良いでしょう。

    アドリアシンを投与中は、悪心や嘔吐が強くでるので、飲酒もさけたほうが良いでしょう。アドリアシンを投与中に日光に当たると、脱毛につづく皮膚の障害が強くでることがあるので、日光にも当たらないほうが良いでしょう。

    さらに、心機能異常がでるので、投与中は強い運動をしないほうが無難です。歩くときもゆっくり歩くように心がけましょう。車の運転にはとくに差し支えありません。

    UFT(一般名:テガフール・ウラシル)

    おだやかな経口抗ガン剤のひとつ

    製造・販売元
    大鵬薬品工業株式会社
    対象患者
    • 頭頸部ガン
    • 胃ガン
    • 結腸・直腸ガン
    • 肝臓ガン
    • 胆嚢・胆管ガン
    • すい臓ガン
    • 肺ガン
    • 乳ガン
    • 膀胱ガン
    • 前立腺ガン
    • 子宮頸ガン
    用法
    カプセルまたは顆粒を服用する。
    有効率
    25.4%(胃ガン)、30.2%(乳ガン)、8.3%(結腸・直腸ガン)、31.0%(頭頸部ガン)など
    副作用
    • 食欲不振
    • 悪心
    • 嘔吐
    • 下痢
    • 白血球減少
    • 血小板減少
    • 貧血
    • 肝障害
    • 色素沈着 など
    コスト
    1,018円
    禁忌
    • UFTの成分に対し、重篤な過敏症の既往歴のある患者
    • テガフール、ギメラシル、オテラシルカリウム配合剤投与中の患者および投与中止後7日以内の患者

    UFTの紹介

    UFTは、結腸・直腸ガンや胃ガンの術後に、日本で最も多く使用されている薬の1つです。術後2週間以上が経過した時点から、術後の再発予防に使われることが多いです。外科の先生方が処方する薬の中で最も多い薬の1つで、毎日2~3回経口投与されます。

    安全に長く使うことができる

    副作用としては食欲不振や消化管の軽い障害が出ますが、比較的安く、長く使用することができます。また、UFTや5ーFUなどに共通する副作用として、それらの薬に対する過敏症がある患者さんには使用できません。

    また長く使用している患者さんの一部に、手と足に色素沈着がおこる「手足症候群」という副作用が出ることがあります。将来的には、「UFT・ロイコポリン併用療法」というのが、代表例として最も使われるようになってくるでしょう。

    これはUFTにロイコポリンという薬を併用する療法です。UFTは単剤での有効率は20% から30% と低いため、将来的にはロイコポリンと併用する、もしくはカンプトという薬と併用することが考えられています。またアメリカでは、オキサリプラチンという薬と併用する動いているということが考えられています。

    投与中の日常生活

    UFTは消化管での比較的軽い副作用があるだけで、日常生活でとくに気をつける点は少ないと思います。入浴や喫煙、車の運転には、とくに気をつける必要はありません。投与の初期に軽い悪心や吐き気がある場合、食事は刺激の少ないものにしたほうがいいと思います。
    悪心や吐き気がある場合には、飲酒もひかえたほうが良いでしょう。手足症候群がおきた場合には、日光に過敏になることがありますので気をつけましょう。
    手足症候群は5-FUでも副作用がでやすい症状です。

    TS-1(一般名:デガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム)

    日本発の経口の胃ガンに対する抗ガン剤

    製造・販売元
    大鵬薬品工業株式会社
    対象患者
    • 胃ガン
    • 頭頸部ガン
    用法
    カプセルを服用する。
    有効率
    46.5%(胃ガン)、34.1%(頭頸部ガン)
    主な副作用
    • 白血球減少
    • 好中球減少
    • ヘモグロビン減少
    • 血小板減少
    • 食欲不振
    • 悪心
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 口内炎
  • 色素沈着
  • 発疹
  • コスト
    917円
    禁忌
    TS-1の成分に対して重篤な過敏症の既往歴がある患者。重篤な骨髄抑制がある患者。重篤な腎障害がある患者。重篤な肝障害がある患者。ほかのフッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤を投与中の患者。フルトシンを投与中の患者。妊婦または妊娠している可能性のある婦人。

    TS-1の紹介

    TS-1は、日本発の経口の抗ガン剤です。胃ガンや頭頸部ガンに用いられていますが、乳ガンや大腸ガンにも保険の適用を拡大するための臨床試験が行われています。

    経口薬としては有効率が高い

    TS-1の成分自体は、5-FUと類似のものの合剤からできています。成分を2つ入れることによって作用を増強しようという試みから合成された薬の1つです。

    一般に、5-FUよりも白血球減少、好中球減少、血小板減少が強く出ることがあります。TS-1は、胃ガンや頭頸部ガンで35% から45% と、経口薬としては有効率が高いので、最近では注目されています。

    TS-1の短所として、肝障害が重篤に出る場合があります。そのため、黄痘のある症例や、肝障害がある場合には、投与が禁忌となります。現在は、ほかの薬と併用するのではなく、この薬だけで治療を行うのが代表的です。将来的には、カンプトやプラトシンなどのような強力な薬と併用して、胃ガンや大腸ガン、乳ガンなどでいっしょに使うとよいのではないかということで、臨床試験が計画されています。

    投与中の日常生活

    入浴については、とくに気をつけることはありません。TS-1を投与している間、口内炎や下痢、悪心、嘔吐がまれに出ることがあります。その場合には、食事を少し控え目にします。
    運動はとくに気をつけることはありませんが、急激にヘモグロビン減少がおきることがありますので、運動量には注意しましょう。
    車の運転、飲酒や喫煙にはとくに問題はありません。ただし肝障害がある場合には、飲酒ができなくなります。

    5-FU(一般名:フロオロウラシル)

    世界で最も古い1つ。多くがガンで併用される。

    製造・販売元
    協和発酵株式会社
    対象患者
    • 胃ガン
    • 肝ガン
    • S状結腸ガン
    • 結腸・直腸ガン
    • 膵ガン
    • 子宮頸ガン
    • 子宮体ガン
    • 卵巣ガン
    • 食道ガン
    • 皮膚悪性腫瘍(有棘細ガン、基底細胞ガン、皮膚付属器ガン、皮膚転移ガン、ポーエン病、パジェット病、放射線角化腫、老人性角化腫、紅色肥厚症、皮膚細網症、悪性リンパ腫の皮膚転移)

    • 肺ガン
    • 頭頸部腫瘍では、ほかの抗腫瘍剤または、放射線との併用が必要
    用法
    • 5-FU協和は、静脈内に注射または点滴注射する
    • 1回の点滴時間は、30分または24時間持続点滴
    • 5-FU錠・5-FU100協和は錠剤を服用する
    • 5-FUドライシロップ協和は、水に溶かして飲む
    • >5-FU座剤100協和は、直腸内に投与する
    • テキスト
    • 5-FU軟膏協和は、患部に塗りつける

    有効率
    5-FU協和で27.3%(胃ガン)、41.9%(結腸・直腸ガン、35.1%(乳ガン)など
    副作用
    はげしい下痢があらわれ、脱水症状までいたる、ショック、重症口内炎、手足症候群など
    コスト
    894円
    禁忌
    5-FUの成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者。テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中の患者および投与中止後7日以内の患者

    5-FUの紹介

    5-FUは、最も広く使われており、対象患者と適応疾患が最も多い抗ガン剤の1つです。
    現在、5-FUだけで有効性が高いということは非常に少ないのですが、多ガンで併用療法に用いられています。注射薬が一般的ですが、経口薬、座薬などもあります。

    非常に安くて安全な薬

    5-FUは、核酸代謝の括抗薬ということで標準的に使われることが多いです。薬の長所としては、非常に安くて安全であり、副作用が予測できることです。

    短所として、投与量が非常に多くると下痢などをおこすことがあったり、口内炎をひどくおこすことがあります。また日光ににあたったりすると、人によっては、手と足が日焼けしたように変色する「手足症候群」がでることがあります。

    一般にはこの薬だけを投与するのではなく、5-FUとロイコボリンや、プラトシンと5-FUといったように、代表的なほかの薬と併用して胃がんや大腸ガンに投与することが多いです。胃ガンでは、3剤用いる薬のうちの1つになっています。

    投与中の日常生活

    口内炎をおこした場合には、酸味のある食物を食べることができなくなりますので注意しましょう。非常に酸味の強いものを食べると、痛みが強くなります。できるだけさっぱりした、牛乳やそういう類のものを飲んだほうが、痛みが軽くすむことが多いです。

    白血球減少がみられない場合には、入浴に関する制限はありません。

    副作用で下痢が出ていて、痔が悪くなったり、肛門の周囲が炎症をおこしたりする直腸・肛門粘膜障害がでることがあるので、肛門の周囲はシャワーやウォシュレットで清潔にしましょう。

    また下痢がある場合には、乳酸菌の含まれているヨーグルトや、牛乳などをとると、さらに下痢をしやすくなるのでひかえましょう。

    手足症候群という副作用が出た場合、日光に当たるとさらに手足症候群が強くでることがありますので、日光に当たることは控えたほうがよいでしょう。副作用で肝障害がでている場合には、飲酒をひかえましょう。喫煙、運動、車の運転に関する制限はありません。

    リッキサン(一般名:リッキシマブ)

    画期的な効果をあげている

    輸入・発売元
    全薬工業株式会社
    対象患者
    • CD20陽性の、低悪性度またはろ胞性B細胞性ホジキンリンパ腫
    • マントル細胞リンパ種
    用法
    静脈内に点滴注射する。1回の点滴に要する時間は4~6時間
    有効率
    60.7%(低要性またはろ胞性リンパ腫)、46.1%(マントル細胞リンパ種)
    副作用
    • 発熱
    • 悪寒
    • 掻痒
    • 血圧上昇
    • 噸脈
    • 頭痛
    • 発疹
    • 白血球減少
    • 好中球減少
    • AST(GOT)上昇
    コスト
    週1回の投与に25~40万円 現在4回まで投与可能
    禁忌
    リッキサンの成分またはマウスたんぱく質由来製品に関する重篤な過敏症または、アナフィラキシー反応の既往歴のある患者

    リッキサンの紹介

    リッキサンは、コストが非常に高いのですが、期待される効果が非常に高いことが特徴です。しかし、検査したうえで「CD20」という標識がついたがんであることが証明されないと、リッキサンを使えません。

    日本では現在、低悪性度のリンパ腫、胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫にしか保険が適用されていません。2002年に、びまん性大細胞性リンパ腫に対して申請されました。現在は、中ないし高悪性度のリンパ腫に対しても保険が適用されています。
    欧米ではすでに8コース使われています。日本では4コースしか認められていません。

    1回目の投与時には入院が必要

    リッキサンを投与すると、全員に発熱や悪寒、関節痛などの副作用がみられます。そのため、リッキサンを投与する30分前に解熱鎮痛剤と抗ヒスタミン剤を飲み、効きはじめてからリツキサンの点滴を開始します。

    とくにはじめての投与時に副作用が強く、1~2日ほど短期入院することが多くなります。ほとんどの場合、1時間から数時間以内に副作用が出ます。

    1回目に副作用が出たからといって、2回目以降の投与ができないわけではありません。2回目以降は非常に副作用が弱くなります。脱毛や下痢をおこすことはなく、心臓への負担もない抗ガン剤です。発熱などのほかに、血圧低下、血圧上昇、かゆみなどが副作用として知られていますが、これらの多くは予防できます。

    リッキサンはB細胞性の免疫をおさえるため、投与中にウィルス感染にかかりやすくなる可能性があります。体を清潔にして、必ず医師に定期的にかかる必要があります。リッキサンは単剤で50~60% に有効です。4回投与すると、3ヶ月くらい血液の中にリッキサンが存在します。その間はずっと有効性が高いようです。

    最近ではこの薬が効かないリンパ腫もまれに報告されています。最近では、エンドキサンやアドリアシンを中心にした悪性リンパ腫の標準療法といっしょにリッキサンを使うと、非常によい成績をあげられることが、欧米、とくにフランスのグループを中心に報告されています。この治療法が1~2年の問に標準化治療とされていくでしょう。

    投与中の日常生活

    入浴に関する制限はありませんが、リッキサンだけで白血球減少や好中球減少がみられた場合には、入浴をひかえたほうがよい場合があります。ただしその場合でも、ウィルス感染にかかりやすくなるため、シャワーなどで体を清潔にしたほうがよいでしょう。

    食事や日光、運動、草の運転に関する制限はありません。重度の肺障害がでることがあるので、喫煙はひかえましょう。また、心障害がでることもあるので、過度の運動もひかえたほうがよいでしょゝつ

    グリベック(一般名:メシル酸イマチニブ)

    薬剤前のセミタイトル

    製造・販売元
    ノバルティス・ファーマ株式会社
    対象患者
    慢性骨髄性白血病
    用法
    食後にカプセルを服用する。
    有効率
    ほぼ100%
    副作用
    • 便秘
    • 吐き気
    • 好中球減少
    • 血小板減少
    • 発疹
    • 白血球減少
    • 貧血
    • 嘔吐
    • 眼瞼浮腫
    • 筋痙攣
    • リンパ球減少
    • ヘモグロビン減少
    • LDH上昇
    • 総たんぱく低下
    • 血清リン低下
    • 血糖値上昇
    コスト
    1カプセル1700円を1日4回服用
    禁忌
    • グリペックに対して重篤な過敏症の既往歴のある場合
    • 妊婦または妊娠している可能性のある婦人

    グリベックの紹介

    グリペックは現在、慢性骨髄性白血病に対する使用で保険が通っています。アメリカでは、消化管間葉性支持細胞腫(GIST)というめずらしい病気でも保険が認められました。日本ではGISTへの適応拡大のための臨床試験も実施済み。

    有効率が非常に高いのが特徴

    グリペックは、研究室での実験によって効果がわかったものが、そのまま患者さんの治療に応用され、効果のあることが証明された薬の1つです。グリペックは、ガン細胞にエネルギーが結合するのをさまたげて、ガン細胞をたおします。

    有効率は非常に高く、ほぼ100% です。ただし慢性骨髄性白血病の中の急性転化(急性白血病に近い状態になる)の場合には有効率が低くなります。とくにリンパ性の場合には、有効率が50%以下となります。

    主な副作用は、便秘と吐き気です。また、日本人では、アメリカ人やヨーロッパ人よりも服用する量が少なくても効く傾向がありますが、好中球減少や血小板減少といった副作用が多くみられるようです。

    グリペックは、飲み薬です。朝1回、食後にただカプセルを飲むだけなので、注射をしたり入院したりする必要がないという利点があります。

    グリペックは非常に注目されているとともに、患者さんからの要望も強い薬です。現在では移植を勧めたり、インターフェロンを勧めても、「まずグリペックを使いたい」という患者さんが圧倒的に多くなっています。

    現在アメリカで、グリペックとインターフエロンとの併用、またキロサイドとの併用の試験が行われています。日本ではまだ行われていませんが、今後いくつかの併用療法の試験が行われる予定になっています。

    グリペックは現在、慢性骨髄性白血病と消化管のガンの2種類に対してしか使われていません。急性リンパ性自血痛に対する臨床試験がこの敷か月以内に完了予定です。非常に予後の悪い脳腫瘍や肉腫にも効くということも分かってきました。今後もっと広い疾患で利用が期待されています。

    投与中の日常生活

    好中球減少がみられた場合には入浴をひかえ、シャワーだけにしましょう。グリペック投与時にみられる最も多い副作用は便秘です。したがって、食事はひかえめにしましょう。

    日光、車の運転、飲酒、喫煙に関する制限はとくにありません。ただし、グリペックは開発されて間もないので、飲酒・喫煙によって体内への吸収の効率に影響があるかどうかがわかっていません。そのため、飲酒・喫煙はひかえたほうがよいでしょう。運動に関する制限はありません。ただし、副作用で貧血がおきることがあります。その場合、立ちくらみや運動によって動悸がでることがあるので、運動をひかえましょう。

    ベサノイド(一般名:トレチノイン)

    急性前骨髄球性白血病の特効薬

    製造・販売元
    エフホフマンラロシュ
    対象患者
    急性前骨髄球性白血病
    用法
    食後にカプセルを服用する。
    有効率
    68.4%
    副作用
    • トリグライセド上昇
    • AST(GOT)・ALT(GPT)上昇
    • 口唇乾燥
    • 頭痛
    • 発熱
    • レチノイン酸症候群の随伴症状など
    コスト
    1日6000~7000円
    禁忌
    • 妊婦または妊娠しの可能性のある婦人
    • ベサノイドの成分に対して過敏症の既往のある患者
    • 肝障害のある患者
    • 腎障害のある患者
    • ビタミンA製剤を投与中の患者
    • ビタミンA過剰症の患者

    ベサノイドの紹介

    ベサノイドは、急性前骨髄球性白血病という病気にしか日本では保険の適応が認められていません。アメリカでは、皮膚のT細胞性リンパ腫や乳ガン術後、ガンの予防、再発予防に使われることが多いです。

    有効率は80~90%

    ベサノイドは、単剤で非常に有効性の高い薬です。急性前骨髄球性白血病は、ベサノイドが出てからほとんどの方が助かるようになりました。最近ではこのベサノイドに、キロサイド、ダウノマイシン、もしくはエノシタビンとイダマイシンを併用すると、さらに有効率が高くなり、80% から90%以上の症例で有効であることが分かっています。

    ベサノイドが効かない場合には、1998年におきた「和歌山カ一事件」で有名になったヒ素が有効であることが知られています。ベサノイドの投与中に、レチノイン酸症候群という病気が副作用として出ることがあります。
    白血球が増えて、白血病が良くなろうとします。しかし、効きすぎると白血球が増えすぎて肺につまって息苦しくなったり、肺のレントゲン写真に異常な影が出たり、頭痛がしたりします。これがレチノイン酸症候群です。

    レチノイン酸症候群の場合には、早くにステロイドホルモンを投与したり、抗ガン剤を併用して白血球を減らしたり、状態の悪い場合には人工呼吸をしなければならないこともあります。とくに小児では、強くこの異常が出ることがあるので、小児では投与することを要注意としなければなりません。

    ベサノイドは妊婦や妊娠している可能性のある婦人にも使われ、これまでに奇形をおこした例が数例報告されています。そのため、原則的には、妊娠中の婦人には投与が禁止されています。しかし、白血病から命を救うためにどうしても投与しなければならない場合には使われています。ちなみに2人以上の血液専門医がいる病院でないと、ベサノイドが処方できません。

    投与中の日常生活

    急性前骨髄球性白血病は出血しやすいので、ほとんどの場合で入院することになります。皮膚をこすったり、洗ったりすると出血する可能性があるので、外来で投与する場合にも、入浴や清拭をすすめることはありません。
    シャワーやうがいをしたり、ウォシュレットで肛門を洗うだけにしましょう。

    ベサノイドでは白血球が非常に減少している場合が多いので、生野菜などの細菌がついている可能性があるものや、納豆・ヨーグルトといった生菌の含まれているものは避け、火の通ったやわらかいものを食べるようにしましょう。

    この薬の投与中は、日光による皮膚障害が非常に強くでるので、日光に当たることはできません。この薬の投与中にまれに意識障害や錯乱をきたすことがあるので、串の運転や仕事はしないほうが無難です。薬の吸収が悪くなる可能性があるので、喫煙・飲酒もさけます。