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ダカルバジン (一般名: ダカルバジン )

ダカルバジン はホジキリンパ腫( 悪性リンパ腫 )や 悪性黒色腫 の薬剤

製造・販売元
協和発酵工業株式会社
対象患者
  • 悪性黒色腫
  • ホジキリンパ腫
用法
静脈内に点滴注射する。1回の点滴に要する時間は3~5時間
有効率
24.2%(悪性黒色腫)
副作用
  • 貧血
  • 白血球減少
  • 血小板減少
  • AST(GOT)・ALT(GPT)、Al-P・LDH総ビリルビンの上昇
  • 光線過敏症
  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 食欲不振
  • 下痢
  • 胃痛
  • ふらつき
  • 蕁麻疹
  • 脱毛
  • 静脈炎
  • 血管痛
コスト
31,062円
禁忌
  • ダカルバジンの成分に対して重篤な過敏症の既往歴がある患者
  • 妊婦または妊娠の可能性のある人

ダカルバジンの紹介

ダカルバジン は、欧米では20年以上前から使用されていました。日本では、悪性黒色腫で保険が承認されていましたが、ホジキンリンパ腫( 悪性リンパ腫 )でも2002年3月から承認されました。

できるだけゆっくり点滴することが必要

ダカルバジン は静脈内に点滴注射をするときに、非常にゆっくり点滴をすることが必要です。それは、量によっても異なりますが、血管痛やアレルギーが多いために、ゆっくり点滴しないと患者さんが痛がるからです。できるだけゆっくり点滴したほうが効果も高く、副作用も少ないことが知られています。およそ3~5時問程度の時間をかけて行うのが一般的です。

ホジキンリンパ腫では標準治療として必ず用いられる薬で、8回投与を行って治療するというのが全世界的に一般的になっています。ただし最近では、若い女性にこの薬を投与すると、20年以上にわたって不妊症になりやすいということが知られてきています。そのため、この薬による8コースの治療を、最近では4コースにしようという動きもアメリカではみられています。

しかしまだ、それが標準化されているわけではありません。ダカルバジンは、ホジキンリンパ腫では標準治療、また悪性黒色腫でも、3剤のうちの標準治療薬として用いられており、必ずこの薬が使われるということになります。

併用する薬の代表例としては、悪性黒色腫の場合には、このダカルバジンのほかに、アドリアシンといった薬、ホジキンリンパ腫では、アドリアシンとブレオマイシン、フィルデシンといった薬で四剤を用いるのが一般的です。将来の見通しとしては、ダカルバジンはまだ標準治療として用いられていますので、十分長い間、将来にわたっても使われることになると思います。

投与中の日常生活について

白血球が減少している場合には、入浴をひかえシャワーだけにしたほうがよい場合があります。また、投与直後にふらつくことがあるので、入浴時には注意しましょう。白血球が減少している場合には、食事は生野菜などの細菌がついている可能性があるものや、納豆やヨーグルトといった生菌の含まれているものは避け、加熱したものを食べたほうがよいでしょう。

紫外線に注意する

また、投与後に患者さんの体に紫外線が当たると、光線過敏症がおこることがあるので、注意が必要です。さらに、点滴をした場所の血管が痛むことがあるので、注意しましょう。運転に関する制限はありません。ダカルバジンの投与中は、肺に負担がかかります。問質性肺炎や肺の線維症といった、肺の中が少し固くなるような副作用があとになっておきる場合があります。そのため、喫煙は控えたほうがよいといわれています。運動に関する制限はありません。

スタラシド(一般名:シタラビン オクホスファート)

白血病、骨髄異形成症候群など、老人例に有効

製造・販売元
日本化薬株式会社
対象患者
    • 成人性リンパ性白血病
    • 骨髄異形成症候群
用法
カプセルを服用する
有効率
20.8%(急性リンパ性白血病)、28.9%(骨髄異形成症候群)
副作用
  • 血小板減少
  • 食欲不振
  • 悪心
  • 嘔吐
  • ヘモグロビン減少
  • 赤血球減少
  • 発熱
  • AST(GOT上昇
  • alt(GPT上昇)
  • 倦怠感
  • LDH上昇
コスト
534,3円
禁忌
スタラシドに対して重篤な過敏症の既往歴のある患者。

スタラシドの紹介

スタラシドは、日本にしかない薬です。カプセルで飲める量がかぎられているので、1回の投与量は非常に少なく、長期間にわたって、一般には数週問から月単位で服用しないと効果が出てきません。強い治療を希望されない方、とくにキロサイドなどの注射などひかくができない方などで、比較的よく使われる経口薬の1つです。

副作用が非常に少ない

スタラシドはまだ日本にしかない薬ですので、世界的に認められているわけではありません。スタラシドは、キロサイドという薬の誘導体です。キロサイドは点滴または注射でしか効果がありませんが、スタラシドは経口薬として使われるようになりました。
現在、成人の急性非リンパ性白血病、骨髄異形成症候群という前白血病状態で保険が承認されています。非常にゆるやかに効くので、副作用が非常に少ないことがスタラシドの長所です。
一方、効果が弱いので、非常にはげしい病気には全く無効であるということが短所になります。

ペラゾリンという薬が悪性リンパ腫などにまれに使われることがありますが、スタラシドとベラゾリンをいっしょに使うと、副作用が強く出て消化管出血をおこすことがあります。

ただし一般には、両方の薬をいっしょに使うことはありません。スタラシドとは、ベスタチンが併用される場合があります。また現在はまだ使われていませんが、分子標的薬のグリペックと併用すると、慢性骨髄性白血病で非常に有効である可能性が高いと考えられています。

投与中の日常生活

入浴については、とくに気をつけることはありません。食事については、できるだけ刺激性の少ないものを食べげりましょう。人によって、まれに下痢や食欲不振がおきることがあるからです。運動や車の運転、飲酒、喫煙などは気をつけることはありません。