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ベサノイド(一般名:トレチノイン)

急性前骨髄球性白血病の特効薬

製造・販売元
エフホフマンラロシュ
対象患者
急性前骨髄球性白血病
用法
食後にカプセルを服用する。
有効率
68.4%
副作用
  • トリグライセド上昇
  • AST(GOT)・ALT(GPT)上昇
  • 口唇乾燥
  • 頭痛
  • 発熱
  • レチノイン酸症候群の随伴症状など
コスト
1日6000~7000円
禁忌
  • 妊婦または妊娠しの可能性のある婦人
  • ベサノイドの成分に対して過敏症の既往のある患者
  • 肝障害のある患者
  • 腎障害のある患者
  • ビタミンA製剤を投与中の患者
  • ビタミンA過剰症の患者

ベサノイドの紹介

ベサノイドは、急性前骨髄球性白血病という病気にしか日本では保険の適応が認められていません。アメリカでは、皮膚のT細胞性リンパ腫や乳ガン術後、ガンの予防、再発予防に使われることが多いです。

有効率は80~90%

ベサノイドは、単剤で非常に有効性の高い薬です。急性前骨髄球性白血病は、ベサノイドが出てからほとんどの方が助かるようになりました。最近ではこのベサノイドに、キロサイド、ダウノマイシン、もしくはエノシタビンとイダマイシンを併用すると、さらに有効率が高くなり、80% から90%以上の症例で有効であることが分かっています。

ベサノイドが効かない場合には、1998年におきた「和歌山カ一事件」で有名になったヒ素が有効であることが知られています。ベサノイドの投与中に、レチノイン酸症候群という病気が副作用として出ることがあります。
白血球が増えて、白血病が良くなろうとします。しかし、効きすぎると白血球が増えすぎて肺につまって息苦しくなったり、肺のレントゲン写真に異常な影が出たり、頭痛がしたりします。これがレチノイン酸症候群です。

レチノイン酸症候群の場合には、早くにステロイドホルモンを投与したり、抗ガン剤を併用して白血球を減らしたり、状態の悪い場合には人工呼吸をしなければならないこともあります。とくに小児では、強くこの異常が出ることがあるので、小児では投与することを要注意としなければなりません。

ベサノイドは妊婦や妊娠している可能性のある婦人にも使われ、これまでに奇形をおこした例が数例報告されています。そのため、原則的には、妊娠中の婦人には投与が禁止されています。しかし、白血病から命を救うためにどうしても投与しなければならない場合には使われています。ちなみに2人以上の血液専門医がいる病院でないと、ベサノイドが処方できません。

投与中の日常生活

急性前骨髄球性白血病は出血しやすいので、ほとんどの場合で入院することになります。皮膚をこすったり、洗ったりすると出血する可能性があるので、外来で投与する場合にも、入浴や清拭をすすめることはありません。
シャワーやうがいをしたり、ウォシュレットで肛門を洗うだけにしましょう。

ベサノイドでは白血球が非常に減少している場合が多いので、生野菜などの細菌がついている可能性があるものや、納豆・ヨーグルトといった生菌の含まれているものは避け、火の通ったやわらかいものを食べるようにしましょう。

この薬の投与中は、日光による皮膚障害が非常に強くでるので、日光に当たることはできません。この薬の投与中にまれに意識障害や錯乱をきたすことがあるので、串の運転や仕事はしないほうが無難です。薬の吸収が悪くなる可能性があるので、喫煙・飲酒もさけます。