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ペラゾリン(一般名:ソブゾキサン)

リンパ腫の経口投与の代表

ベラゾリンは、悪性リンパ腫と成人T細胞性白血病、T細胞性リンパ腫の患者さんに用いられています。

製造・販売元
全薬工業株式会社
対象患者
  • 悪性リンパ腫
  • 成人T細胞白血病
  • T細胞リンパ腫
用法
細粒を服用
有効率
28.3%(悪性リンパ腫)、43.5%(成人T細胞性白血病)
副作用
  • 食欲不振
  • 悪心・嘔吐
  • 下痢
  • 口内炎
  • 脱毛
  • 白血球減少
  • 赤血球減少
  • 血小板減少など
コスト
736円
禁忌
  • 重篤な骨髄抑制がある
  • ペラゾリンに対する重篤な過敏症がある

ペラゾリンの紹介

ベラゾリンは、悪性リンパ腫と成人T細胞性白血病、T細胞性リンパ腫の患者さんに用いられています。

減量、増量を柔軟に行える

一般には400mgの細粒からできています。400mgからはじめて、およそ1200mgまで段階をおって徐々に増量したり、逆に副作用が強い場合には減量したりといったことが自由にできるという利点のある薬です。

ただしペラゾリンだけでは約30%くらいの有効率しかありません。ペラゾリンだけでは非常に効果が弱く、治癒をめざす薬ではありません。強い治療をしたあとで再発したた患者さんや、老齢のために強い治療ができない患者さん、もしくは入院治療を希望せずに、どうしても外来で治療しなければならないという患者さんに対して、好んで使われる場合があります。

日本では一般に、ペラゾリンとラステットという薬が、そのような患者さんによく使われています。両方の薬がどちらも効かなくなるということはなく、どちらかを先に投与して、その薬が効かなくなったら別のほうを投与するというように、一般的には使用します。

別の薬との併用は副作用がおこることがある

帯状疱疹の薬で、ゾビラツクスという薬があります。その薬といっしょにペラゾリンが投与されて重篤な骨髄抑制をおこし、亡くなった患者さんがいました。そのように別の薬が入っていると重篤な副作用が出る場合がありますので、併用している薬が何かと必ず問いたうえで投与するということが必要になっています。

ほかの抗ガン剤でも同じなのですが、ペラゾリンでは実際に亡くなった例がありましたので、とくに気をつけて投与することになっています。

一般に抗ウィルス薬がいっしょに人っていると核酸の合成障害がおきて、悪心や嘔吐が強いだけでなく、下痢や口内炎、脱毛も非常に強くおき、なおかつ白血球減少が非常に長い間つづきますので、気をつけて使用することが必要です。
ほかの薬と併用することは基本的に認められていませんが、これまでにラステットやスタラシドなどといった抗がん剤と併用すると、下痢が強く出たり、消化管出血がおきたという報告がありますので注意が必要です。

投与中の日常生活

投与した最初のころに、食欲不振や悪心、嘔吐が出る場合があります。少量ではじめる場合はとくに心配することはありません。最初のころは少量かせいとらはじめるか、投与する場合に制吐剤(吐き気どめ)をいっしょに投与するように気をつけることが必要です。入浴や車の運転、飲酒、喫煙、日光などについては、とくに気をつける必要はありません。

ベスタチン(一般名:ウベニメクス)

古いが最近注目されている分枝標的薬

製造・販売元
日本化薬式会社
対象患者
  • 成人急性非リンパ性白血病
用法
カプセルを服用する
有効率
(寛解時期)50% 寛解期間は21ヶ月、4年長期寛解率は33ヶ月、4年長期生存率は46.1%、5年生存率は36.1%
副作用
  • 肝臓障害(AST(GOT)、ALT(GPT上昇など)
  • 皮膚障害(発疹、発赤、掻痒感)
  • 消化器障害(悪心、嘔吐、食欲不振など)
コスト
1,857円
禁忌
なし

ベスタチンの紹介

ベスタチンは、成人急性非リンパ性白血病に使われる経口薬です。現在は免疫賦括剤として使用されています。ベスタチンは「アミノペプチターゼ」という酵素を阻害しますので、その酵素がたくさん発現しているガンに効くとされています。

副作用はほとんどない

現在は残念ながら、成人急性非リンパ性白血病にしか保険が承認されていません。しかし肺ガンに対しても、有効性を確かめる試験が現在行われて申請されています。薬の長所としては、副作用がほとんどなく、また飲み薬であること、さらに、2年間ほど飲みつづけると、手術後の再発率が非常に低くなるということがいわれています。

副作用としては、まれに蕁麻疹が出ることなどが知られています。投与しても血液の濃度がなかなか上がらないので、保険で承認されている約3倍の量を使うことが必要だと考えられています。現在さまざまなガンに使われているへいよう抗ガン剤を、ベスタチンと併用する場合があります。

併用する薬の代表例としては、急性非リンパ性白血病の場合には、ダウノルビシンやキロサイドといった白血病の薬剤と併用することが多いです。将来的には、おそらく大腸ガンや肺の扁平上皮ガンで、保険が承認される可能性が高いです。

投与中の日常生活

入浴については全く気をつける必要はありません。食事もとくに気をつける必要はありません。運動も全く気をつける必要はありません。車の運転、飲酒、喫煙も同様です。