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オンコビン(一般名:硫酸ビンクリスチン)

現在も有効なリンパ系腫瘍の薬剤

製造・販売元
塩野義製薬株式会社
対象患者
  • 白血病(慢性白血病、慢性白血病の急性転化時を含む)
  • 悪性リンパ腫
  • 小児腫瘍(神経芽腫、ウィルス腫瘍、横紋金肉腫、睾丸胎児性ガン、血管肉腫など)
用法
静脈内にゆっくり点滴注射する
有効率
36.2%(成人の急性白血病)、61.9%(小児の急性白血病)、73.2%(悪性リンパ腫)60.9%(小児腫瘍)
副作用
  • しびれ感
  • 脱毛
  • 下肢深部反射減弱
  • 消失
  • 倦怠感
  • 四肢疼痛
  • 筋萎縮
  • めまい
  • 排尿困難
コスト
7824円
禁忌
オンコビンの成分に対して重篤な過敏性の既往歴がある患者。脱随性シャルコー・マリー・トゥースの患者。髄腔内には投与してはいけない

オンコビンの紹介

オンコピンは、リンパ腫や急性リンパ性白血病、慢性白血病などに使われる最も古い治療薬で、小児腫瘍にも使われています。

オンコピンは、非常に有効性が高いというのが利点です。一方で、しびれ感や末梢神経障害、四肢の疼痛や筋の萎縮などが必ずおきます。これらは軽度であろうが、ほとんどの方に必ず出る症状です。

投与する頻度に注意する

オンコピンは、1週間に1回というのが、最も多く用いられる場合の頻度です。一般には、毎日投与することは絶対にあってはいけない薬です。

オンコピンは神経障害をおこす薬ですので、毎日投与すると末梢神経障害が強く出るだけではなく、消化管の麻痔をおこしたりします。使用頻度には、必ず気をつけなければなりません。とくに老人や非常に若い方では、効果はあるのですが障害が強く出ることがあります。症状をみながら使っていくことになります。

きわめて安全に使われる

オンコピンはこの薬だけでも有効ですが、機序のちがう薬をできるだけいっしょに使ったほうが、有効性が高くなります。悪性リンパ腫では「CHOP療法」で、世界的に最も有名な薬の組み合わせの1つとして使われています。

オンコピンの有効性が最も出る方法の1つです。小児腫瘍では、そのほかにラステットやプラトシンなどといっしょに使われることが多いです。肉腫や神経芽細胞腫、骨肉腫といったまれな疾患でも使われますし、白血病やリンパ腫にも使われています。

白血球減少もほとんどみられませんので、きわめて安全に使われる薬です。ただし点滴中に血管から漏れると、血管の壊死や静脈炎をおこしますので注意が必要です。

また、髄腔内に投与すると非常に強い脊髄麻痺がおきますので、絶対に投与してはいけません。もちろんこれは薬の副作用もしくは禁忌項目に書いてあります。

しかし何年かに一度、このような事故がおきますので、気をつけなければなりません。オンコピンには、経口薬を開発していこうという動きがあります。また白血球球減少が比較的少なく、外来でも治療しやすいことから、がんの種類を広げて開発を進める動きもあります。
投与中の日常生活
神経障害が強いので、足の裏や手先のしびれ、筋力の低下などがみられます。滑ったり転んだりしやすくなりますから、入浴するとき、床がぬれているような場合に気をつける必要があります。食事については、全く気をつけることはありません。
車の運転や運動については、とくに気をつけることはありませんが、しびれが最も強い薬なので、細かい作業には向いていません。飲酒や喫煙については、気をつけることはありません。

アルケラン(一般名:メルファラン)

造血幹細胞移植等の前処置薬として活躍

製造・販売元
グラクソ・スミスクライン株式会社
対象患者
  • 白血病
  • 悪性リンパ腫
  • 多発性骨髄種
  • 小児固形腫瘍における造血幹細胞移植等の前処置
用法
静脈内にゆっくり時間をかけて点滴注射する。経口薬もあり
有効率
成人(46.2%)、小児(60%)
副作用
  • 下痢
  • 口内炎
  • 粘膜炎
  • 悪心
  • 嘔吐
  • AST(GOT)、ALT(GPT)上昇
  • 肝機能障害
コスト
10487円
禁忌
  • 重症感染症を合併している患者
  • アルケランの成分に対して過敏症の既往歴のある患者

アルケランの紹介

アルケランは白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの病気、あるいは小児の固形腫瘍で移植の前に前処置として用いられます。

小児の細胞移植の成績がよくなった

経口薬では5日間しか投与しません。静脈内に点滴で投与する場合には、移植の前にしか用いないことが多いです。経口薬は以前から存在していましたが、静脈注射の薬は2001年に認められました。

副作用は、大量に投与されたときの下痢や口内炎、消化器症状が主で、吐き気や嘔吐が出ることがあります。まれに肝障害がおきることがあります。

重症の感染症を合併していたり、アルケランに対して過敏症がある場合には投与することができません。この薬が利用されるようになって、小児の細胞移植の成績がきわめて良くなりました。最近では、アルケランがないと小児の細胞移植ができないほど有名な薬になりました。

投与中の日常生活

アルケランが造血幹細胞移植のときの前処置として使われる場合には、アルケランを使う前に消毒薬を入れて入浴し、無菌室に入ります。無菌室に入ったあとは、シャワーだけになります。

食事も無菌食、もしくはそれに準じた食事になります。アルケランと日光との関係についてのデータはありません。しかし、ほかの薬を併用していることが多く、併用ししている薬によっては紫外線による皮膚障害が出ることがあるので、その場合は日光にあたることはできません。
無菌室に入ることが多いので、車の運転、飲酒や喫煙はできなくなります。