結腸・直腸ガン」タグアーカイブ

カンプト・トポテシン(一般名:塩酸イリノテカン)

日本発信の薬剤

製造・販売元
株式会社ヤクルト本社/第一製薬株式会社
対象患者
  • 小細胞ガン
  • 非小細胞ガン
  • 子宮頸ガン
  • 卵巣ガン
  • 胃ガン
  • 結腸・直腸ガン
  • 乳ガン
  • 悪性リンパ腫
用法
静脈内に点滴注射する。1回の点滴に要する時間は90分以上または60分以上
有効率
34.3%(非小細胞ガン)23.6%(子宮頸ガン)23.1%(卵巣ガン)など
副作用
  • 白血球減少
  • ヘモグロビン減少
  • 血小板減少
  • 下痢
  • 嘔吐
  • 食欲不振
  • 腹痛
  • 脱毛
コスト
43,234円
禁忌
  • 骨髄機能抑制のある患者
  • 感染症を合併している患者
  • 下痢のある患者
  • 腸管麻痺、腸閉塞のある患者
  • 間質性肺炎または、肺線維症の患者
  • 多量の腹水、胸水のある患者
  • 黄疸がある患者
  • この薬に対して過敏症のある患者

カンプト/トポテシンの紹介

この薬は日本で開発された薬ですが、現在では日本よりもアメリカでたくさん使われています。肺ガンや胃ガン、大腸ガン、乳ガン、リンパ腫などに使われています。現在最も使われているガンとしては、肺ガンと大腸ガンが知られています。そのほかに、乳ガンや悪性リンパ腫が再発した例で、この薬を少量使うと効果があるということが分かってきました。

問題になる副作用は下痢と吐き気

現在、日本では150mg/m2という量で、保険が承認されていますが、そちよりも少ない量で治療されている場合もあります。この薬の臨床試験は、はじめて治療する例に使用されたのではなく、1回目の治療が効かなかった例に対して行われました。

そのため、はじめからこの薬を使うということは非常に少ないようです。この薬の有効率は、最も有効な例で30%前後です。いちばん問題になる副作用は、下痢、吐き気です。そのほかに、くり返し投与すると骨髄抑制がおきて白血球減少や貧血、血小板減少がみられます。

下痢、悪心、嘔吐は非常に強い例がまれにあります。標準治療をくり返し行うと、そういうものが多くなってくることがあります。下痢や悪心、嘔吐が出る患者さん、また腸管に麻痺がある患者さんの場合には、この薬を使用することはできません。この薬が腸に出て、その後肝臓に戻りますが、腸管麻痺があるとそれができないため、薬がいつまでも効いてしまうからです。

少量なら長期間投与可能

この薬は比較的短時間で点滴をして注射が行えること、また量が少ない場合には長い間投与することができるという長所があります。併用する薬の代表例としては、アメリカでは大腸がんの場合には5-FU 、ロイコオリンなどといっしょに使うことが標準療法になっています。乳がんでは単剤、亜心性リンパ腫でもおおよそ単剤で使われることが多いです。
将来の見通しですが、この薬は、この1剤では30%程度しか有効率がありません。しかし、長く使用できるということ、また少量ならば副作用が少ないということから、少量での治療や、5-FU、ロイコポリンとの併用について、今後試験が行われていくことになると思います。

投与中の日常生活

日常生活の注意点として、白血球減少がきた場合や、下痢、悪心が強い場合には、入浴はあまり勧められません。食事に関しても、下痢、悪心、嘔吐が強い場合には、制限をする場合があります。運動は貧血がなければとくに問題ありません。
この薬は心臓や肺に負担がかかる薬ではないからです。車の運転や喫煙は問題ありませんが、飲酒をすると下痢、悪心、嘔吐が強くなる場合があります。

UFT(一般名:テガフール・ウラシル)

おだやかな経口抗ガン剤のひとつ

製造・販売元
大鵬薬品工業株式会社
対象患者
  • 頭頸部ガン
  • 胃ガン
  • 結腸・直腸ガン
  • 肝臓ガン
  • 胆嚢・胆管ガン
  • すい臓ガン
  • 肺ガン
  • 乳ガン
  • 膀胱ガン
  • 前立腺ガン
  • 子宮頸ガン
用法
カプセルまたは顆粒を服用する。
有効率
25.4%(胃ガン)、30.2%(乳ガン)、8.3%(結腸・直腸ガン)、31.0%(頭頸部ガン)など
副作用
  • 食欲不振
  • 悪心
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 白血球減少
  • 血小板減少
  • 貧血
  • 肝障害
  • 色素沈着 など
コスト
1,018円
禁忌
  • UFTの成分に対し、重篤な過敏症の既往歴のある患者
  • テガフール、ギメラシル、オテラシルカリウム配合剤投与中の患者および投与中止後7日以内の患者

UFTの紹介

UFTは、結腸・直腸ガンや胃ガンの術後に、日本で最も多く使用されている薬の1つです。術後2週間以上が経過した時点から、術後の再発予防に使われることが多いです。外科の先生方が処方する薬の中で最も多い薬の1つで、毎日2~3回経口投与されます。

安全に長く使うことができる

副作用としては食欲不振や消化管の軽い障害が出ますが、比較的安く、長く使用することができます。また、UFTや5ーFUなどに共通する副作用として、それらの薬に対する過敏症がある患者さんには使用できません。

また長く使用している患者さんの一部に、手と足に色素沈着がおこる「手足症候群」という副作用が出ることがあります。将来的には、「UFT・ロイコポリン併用療法」というのが、代表例として最も使われるようになってくるでしょう。

これはUFTにロイコポリンという薬を併用する療法です。UFTは単剤での有効率は20% から30% と低いため、将来的にはロイコポリンと併用する、もしくはカンプトという薬と併用することが考えられています。またアメリカでは、オキサリプラチンという薬と併用する動いているということが考えられています。

投与中の日常生活

UFTは消化管での比較的軽い副作用があるだけで、日常生活でとくに気をつける点は少ないと思います。入浴や喫煙、車の運転には、とくに気をつける必要はありません。投与の初期に軽い悪心や吐き気がある場合、食事は刺激の少ないものにしたほうがいいと思います。
悪心や吐き気がある場合には、飲酒もひかえたほうが良いでしょう。手足症候群がおきた場合には、日光に過敏になることがありますので気をつけましょう。
手足症候群は5-FUでも副作用がでやすい症状です。