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タキソール(一般名:パクリタキセル)

最も注目され開発されるタキサン系統の薬剤

製造・販売元
ブリストル製薬株式会社
対象患者
  • 卵巣ガン
  • 非小細胞ガン
  • 乳ガン
  • 胃ガン
用法
静脈内に点滴注射する。1回の点滴に要する時間は3時間。
有効率
26.6%(白金製剤不応・再発側の卵巣ガン)36%(手術不能・前化学療法のない非小細胞ガン)32.9%(進行・再発乳ガン)23.4%(進行・再発胃ガン)
副作用
  • 末梢神経障害
  • 関節痛
  • 悪心li>
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 口内炎
  • 脱毛
  • 発熱
禁忌
48,672円~146,016円
禁忌
  • 重篤な骨髄抑制のある患者
  • 感染症を合併している患者
  • タキソールまたはポリオキシエチレンヒマシ油含有製剤
  • 妊婦または妊娠している可能性のある患者

タキソールの紹介

タキソールは、卵巣ガンや肺ガン、乳ガン、胃ガンといった代表的な疾患に有効性が高く、そのほかに頭頸部腫瘍などの原発不明ガンにも有効例が多い薬の1つです。一般にはこの薬だけで使うことは少なく、プラトシンやカルボプラチンなどの白金製剤と併用する薬の1つです。

副作用が少なく、外来でも投与できる

ダウノルビシンやアドリアシン、イダルビシンなどといった強力な抗がん剤にくらべると、タキソールは副作用が比較的少なく、外来でも投与できる利点があります。そのため、乳ガンや肺がんの患者さんで入院治療を好まない方、またどうしても外来で治療したいという方に、使われている場合が多い薬です

タキソールは薬をつくる際の原料、もしくはタキソールがとけているひまし抽に対するアレルギーがおこることがあります。そのため1回目の投与のときには一般に1~2日、短期間の入院をします。入院しない場合は、投与前にアレルギーを防ぐ薬を投与してからタキソールを投与することが勧められています。

レスタミンやデカドロン、ザンタックを投与します。タキソールは一般には、アンスラサイクリンという薬や、白金製剤などに有効性が認められなかった場合、もしくは有効性が認められたけれども再発をしたような乳ガンや卵巣ガン、胃ガン、肺ガンに有効とされています。

最初の治療からタキソールを使うことは非常に少ないのですが、嘔吐や脱毛が非常に強く出る薬を嫌う方には、タキソールはお勧めです。ただしタキソールの系統の薬では全て、末梢神経障害がみられます。キーボードを打つことが多かったり、芸術関係の仕事をされていたりなど、指を非常によく使う仕事についている方には、あまりお勧めできません。残念ながらコストが高いのが現状です。1回の投与で数万円かかります。

消化管の手術をしたあとや、感染症を合併している患者さんにタキソールを使うと、副作用が強く出る場合があります。またとけている溶剤に対して過敏症が出る場合があります。タキソールは現在、3週間おきのプロトコルが保険で認められています。

毎週投与すると、使う量を約3分の1に節約できるだけでなく、有効率が10~20% 高くなり、副作用が少なくなるということが分かっています。保険ではまだ完全には認められていませんが、毎週投与する治療が今後多くなっていくのではないかと思います。

投与中の日常生活

末梢神経障害が出ますので、ぬれている床や階段などは注意しましょう。また運転の細かい作業には注意しましょう。比較的便秘になりやすいので、食事は消化の悪いものには気をつけましょう。便秘の場合は飲酒にも気をつけましょう。喫煙や日光については、とくに気をつけることはありません。

カンプト・トポテシン(一般名:塩酸イリノテカン)

日本発信の薬剤

製造・販売元
株式会社ヤクルト本社/第一製薬株式会社
対象患者
  • 小細胞ガン
  • 非小細胞ガン
  • 子宮頸ガン
  • 卵巣ガン
  • 胃ガン
  • 結腸・直腸ガン
  • 乳ガン
  • 悪性リンパ腫
用法
静脈内に点滴注射する。1回の点滴に要する時間は90分以上または60分以上
有効率
34.3%(非小細胞ガン)23.6%(子宮頸ガン)23.1%(卵巣ガン)など
副作用
  • 白血球減少
  • ヘモグロビン減少
  • 血小板減少
  • 下痢
  • 嘔吐
  • 食欲不振
  • 腹痛
  • 脱毛
コスト
43,234円
禁忌
  • 骨髄機能抑制のある患者
  • 感染症を合併している患者
  • 下痢のある患者
  • 腸管麻痺、腸閉塞のある患者
  • 間質性肺炎または、肺線維症の患者
  • 多量の腹水、胸水のある患者
  • 黄疸がある患者
  • この薬に対して過敏症のある患者

カンプト/トポテシンの紹介

この薬は日本で開発された薬ですが、現在では日本よりもアメリカでたくさん使われています。肺ガンや胃ガン、大腸ガン、乳ガン、リンパ腫などに使われています。現在最も使われているガンとしては、肺ガンと大腸ガンが知られています。そのほかに、乳ガンや悪性リンパ腫が再発した例で、この薬を少量使うと効果があるということが分かってきました。

問題になる副作用は下痢と吐き気

現在、日本では150mg/m2という量で、保険が承認されていますが、そちよりも少ない量で治療されている場合もあります。この薬の臨床試験は、はじめて治療する例に使用されたのではなく、1回目の治療が効かなかった例に対して行われました。

そのため、はじめからこの薬を使うということは非常に少ないようです。この薬の有効率は、最も有効な例で30%前後です。いちばん問題になる副作用は、下痢、吐き気です。そのほかに、くり返し投与すると骨髄抑制がおきて白血球減少や貧血、血小板減少がみられます。

下痢、悪心、嘔吐は非常に強い例がまれにあります。標準治療をくり返し行うと、そういうものが多くなってくることがあります。下痢や悪心、嘔吐が出る患者さん、また腸管に麻痺がある患者さんの場合には、この薬を使用することはできません。この薬が腸に出て、その後肝臓に戻りますが、腸管麻痺があるとそれができないため、薬がいつまでも効いてしまうからです。

少量なら長期間投与可能

この薬は比較的短時間で点滴をして注射が行えること、また量が少ない場合には長い間投与することができるという長所があります。併用する薬の代表例としては、アメリカでは大腸がんの場合には5-FU 、ロイコオリンなどといっしょに使うことが標準療法になっています。乳がんでは単剤、亜心性リンパ腫でもおおよそ単剤で使われることが多いです。
将来の見通しですが、この薬は、この1剤では30%程度しか有効率がありません。しかし、長く使用できるということ、また少量ならば副作用が少ないということから、少量での治療や、5-FU、ロイコポリンとの併用について、今後試験が行われていくことになると思います。

投与中の日常生活

日常生活の注意点として、白血球減少がきた場合や、下痢、悪心が強い場合には、入浴はあまり勧められません。食事に関しても、下痢、悪心、嘔吐が強い場合には、制限をする場合があります。運動は貧血がなければとくに問題ありません。
この薬は心臓や肺に負担がかかる薬ではないからです。車の運転や喫煙は問題ありませんが、飲酒をすると下痢、悪心、嘔吐が強くなる場合があります。